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生もと造りのタンクの中で起こる微生物のドラマ。
<合戦・前夜>
もとタンクの中には、蒸米、麹、仕込み水が混合されています。低温で栄養分も少ない最初の段階は、まさに微生物たちの群雄割拠。その中で頭一つリードして勢力をふるうのが、硝酸還元菌です。硝酸還元菌は仕込み水や米から入り込んで、水に含まれていた硝酸塩を還元して亜硝酸にし、これで他の微生物を攻撃します。しかしタンクに侵入していた産膜酵母や野生酵母たちは、まだ決定的なダメージは受けておりません。
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<世界を制した乳酸>
そのうちに温度が上がって麹が少しずつ栄養を作り出すと、空気中や麹から入ってきた乳酸菌が活動を開始します。乳酸菌は糖分から乳酸を生成しはじめます。 ほとんどの微生物は乳酸の酸性が苦手です。はじめに勢力を誇った硝酸還元菌はもとより、しぶとく生き残っていた産膜酵母や野生酵母たちも、亜硝酸と乳酸のはさみ撃ちにあって全滅します。こうして乳酸菌は、自分のつくり出した乳酸によってタンクの世界を制しました。
<そして誰もいなくなった>
しかし、これで、乳酸菌の天下が到来したわけではありません。乳酸菌は自分のつくり出した乳酸の過剰な酸性に耐えかねたのか(旧説)、はたまた新しい覇者より未知の攻撃を受けたのか、急速に姿を消してしまいます。さてこの後、このタンクを制するものは現れるのでしょうか?
<酵母の天下統一> ここで酵母が姿を現します。酵母は亜硝酸が苦手で、硝酸還元菌がいる間は身を潜めていますが、今やこわいものはありません。乳酸に強い性質をもつ酵母は、雑菌の生きられない酸性環境の中でも糖分を食べて強くなり、どんどん自分の仲間を増やしていきます。そして実は、酵母の作るアルコールが乳酸菌を滅ぼしてしまったのです。こうして、試練に耐えて勝ち残った強い酵母だけが、驚くべき純度で天下統一を実現したのでした。
【参考】
ぶるわーず 第5話 第6話 参照