大七テーマパーク

超扁平精米技術が拓く、吟醸酒の未来
超扁平精米とは

はじめに従来の精米法の問題点解決策としての扁平精米法新しい指標「扁平精米歩合」の提案図解:各種精米法の比較大七の扁平精米技術(研究とその成果)従来の大吟醸米との比較

大七の扁平精米技術(研究とその成果)

 大七酒造では以前よりこの精米法に強い関心をもち、実用化に向けて努力を続けてきました。そして今回、扁平精米の成果をより明確にするとともに、これまで扁平精米の問題点とされてきた時間と手間がかかるという点を克服するため何度も精米試験を行い、最も効率的な扁平精米技術の確立に成功しました。この弊社の精米技術を「超扁平精米」と名付けています。

 

大七酒造が開発した超扁平精米

精米の比較

最も表面積の大きい厚さの面の研削を優先して行い、トータルでの不要成分を極小化している。



〈精米結果〉

第1表 見掛け精米歩合と扁平精米歩合

見掛け精米歩合(%)

扁平精米歩合(%)

玄米

90

71.5

80

64.1

75

53.7

70

51.3

63

44.4

58

36.8

51

34.0

第2表 精米の評価

残 芽 率 (%)

0.0

砕 米 率 (%)

1.0

無効精米歩合(%)

3.1



〈できた白米の品質〉

グラフ
精米方法と米の粗タンパク質含量

 こうして得られた白米を分析し、従来法で精米したものと比較すると、扁平精米法は米の表面付近に多く存在するタンパク質を非常に効率よく除去することができ、扁平精米は極めて効果的な精米方法であるということが証明されました。扁平精米の70%(見掛け精米歩合)と従来法の58%(見掛け精米歩合)のタンパク質含量が等しく、扁平精米することによって精米歩合で12%精白を上げたのに相当する成果を得ることができました。

 

 扁平精米ではグルコース量が多く、アミノ酸が少ない。(第3表) これは雑味の要因となるアミノ酸が減少し、吟醸香の生成に関係の深いグルコースの割合が多くなるという非常に好ましい結果を示している。
これらのことより扁平精米は原料利用率を高めるだけでなく、高品質酒の醸造に適していることがわかる。

第3表 白米消化試験

 

普通精米

扁平精米

ボーメ度

6.6

6.6

屈折糖度(%)

10.8

10.8

グルコース(%)

4.01

4.21

pH

6.03

6.03

アミノ酸度

0.50

0.45

従来の大吟醸米との比較

比較のために弊社の各種の白米サンプルを、従来の大吟醸米と比較しました。比較対象の大吟醸米は、他社製の山田錦の35%精米サンプルで、従来の基準でいえば良好な精米と評価しうるものです。
 全サンプルについて、それぞれが実質的にどれだけ研削されたかを示す扁平精米歩合を、吟醸米サンプルについて、不要成分がどれだけ残っているか示す粗タンパク質残存率(*)を調べたのが第4表です。
(*)粗タンパク質残存率は、それぞれの玄米の粗タンパク質が、精米後どれだけ残存しているかを測定。

第4表 従来の大吟醸米との比較

サ ン プ ル

扁平精米歩合

形 状

粗タンパク質残存率

他社製・35%・山田錦

64.4%

従来型

51.55%

他社製・34%・山田錦

60.1%

従来型

 

他社製・33%・山田錦

59.7%

従来型

 

大七製・65%・華吹雪

50.3%

超扁平

 

大七製・58%・五百万石

36.8%

超扁平

44.07%

大七製・51%・山田錦

34.0%

超扁平

44.32%

大七製・38%・山田錦

46.5%

やや扁平

48.31%


 このように、弊社の精米歩合65%、58%、51%、38%の白米の扁平精米歩合は、いずれも従来型35%精米サンプルを大きく下回っており、不要成分の残存率でも、弊社の58%、51%の白米は従来型35%精米サンプルを大きく下回っています。
 以上の結果からも、弊社の超扁平精米が極めて効果的であることがわかります。


〈できたお酒の品質〉

 実際にお酒を仕込んで醸造試験を行ったところ、アミノ酸の少ないきれいな清酒ができあがり、扁平精米によって原料米を無駄にしないで、すっきりした吟醸タイプの清酒を造ることが可能となりました。

グラフ

 アミノ酸度は扁平精米のほうが普通精米よりも明らかに少ないことから、扁平精米では効率的にタンパク質が除去され、それができたお酒にも反映していることがわかる。
このことは官能審査の結果にも明確にあらわれた。4段階評価平均で普通精米酒は2.45点、扁平精米酒は1.65点となった。さらに短評を記入してもらった結果、扁平精米酒については吟醸香あり、なめらか、まるい、比較的すっきりきれいで上品という評価であった。
 また、わざと日光着色させた試料の官能検査を行ったところ、扁平精米酒では日光臭はほんのわずかで、普通精米酒のものと保存性に明らかに差があらわれた。


第5表 試験醸造酒の分析結果
 

普通精米

扁平精米

アルコール度(%)

18.1

18.5

17.7

18.1

日本酒度

+1

+1

+1

+1

酸度

2.0

1.8

2.0

1.8

アミノ酸度

1.05

1.05

0.75

0.80

総窒素(%)

0.064

0.065

0.056

0.053

紫外部吸収

7.472

7.438

6.589

6.440

65℃火入れ着色

0.076

0.073

0.066

0.068

官能検査

2.4

2.5

1.3

2.0



〈まとめ〉

 これまで鑑評会用をはじめとする大吟醸酒の世界では、精米歩合を小さく削ることに重きが置かれて、その精米品質の評価については除芽・除溝、砕米等による無効精米歩合の低減が言われるのみで、形状の丸さは事実上容認されておりました。
しかしながら今回の研究の結果、不要成分の除去という目的のためには、形状の丸さを容認したまま精米歩合を低くしても不十分であり、精米歩合よりもむしろ、いわゆる「扁平精米歩合」の低減が密接に関係していることが明らかになりました。
 従来よりも飛躍的に「扁平精米歩合」を低減させることのできる超扁平精米技術は、これまでのものを遙かに超える高品質清酒の製造に道を拓くものであり、また原料米の無益な損失を防いで従来より少ない精米で大きな成果をもたらす、省資源の点でも極めて優れた技術であると言えるでしょう。


【文献】
1) 齋藤富男, 手塚信也, 近藤 修, 岡田光司, 坂本恭輝, 久保克朗, 杉山隆一, 栗林直章, 加藤美好, 吉井 忠:醸協, 89,(6)489(1994)
2) 齋藤富男, 木下 実, 高安裕子, 諏訪為治, 窪田陽子:醸協, 88,(1)69(1993)
3) 大橋 勝, 諏訪為治:醸協, 76,(7)436(1981)